YOMU,KAKU,TANOSIMU,YOM、KAKU,TANOSIMU読む、書く、楽しむ
読む、書く、楽しむ      Akiko

1999-07-10  SEPTEMBER  9月  作者ロザムンド、ピルチャ−

スコットランド高地地方に暮す落魄した大地主バルメリノ-家と其の隣人エアド家の人々を主人公に家庭と家族の絆を描いている。

この本は季節の移り変わり、天候の様子等自然界の移り変わりをこの地方の人々の生活と重ね合わせ描写して行く。人々の性格の二極制を対比させ、雁の飛来の季節である春から飛び去って行く冬の到来までを5月から9月として一月づつをきせつに絡ませながら話が進む。ラストの9月は一番楽しい季節に設定されている。

話は今はだんだん廃れつつあるダンスパ−テ−が久しぶりに9月に計画され、、それまでの出来事や家族の絆が描かれている。相手を尊重しながらつつましく生活している村の人々のなかで一人だけ自分勝手な生き方をしてきたバルメリ−家の娘パンドラ。

ダンスパ−テ−を機に父母の死にも帰ってこなかったのに帰省する。そして、結婚を迷っているノエルと言う男性に言う。人生とはすり抜けた機会は二度と与えられない。本当にいいものが指の間からすり抜けたらもうそれきりよ。と・・・・

又仕事と成功のみを追っていたエドマンド、エアドは今までの人生で、常に自分の力を信じ、非を認ずに来た。しかし非を素直に認めることが出きるようになった時、母である、叡智の人ヴァイオレット、エアドにこの本の中で次のように言わしめる。

愛しててきたわ、でも近頃の息子は好きになれなくて、今ではどうやら全てが一変したようで、もしかしたらエドマンドにもやっと解りかけているんじゃあないかしら。、人生において、一見取るに足ら無い些細なことが、時として世間の考える重大事よりも無限に大きな意味を持っているんだって。と・・・ 

私は、この人の本が大好きです。興味のある方はこの本も勿論 シェルシ−カ−ズ。夏の終わり。スコットランドの早春。等 読んでみて下さい。

1999-06-24     One Bird  (翻訳名 めぐみ ) 作者 キョウコ・モリ

この本は 日本人作者のものですけど、アメリカ在住の女性で逆輸入本です。

場所設定は、日本で、兵庫県と京都、芦屋女学校に通う15歳の少女の物語です。

父は愛人をつくりほとんど家に帰らなくなり、母は少女に春には戻ってくると言い残し11月のある日家を出て行ってしまった。少女恵みは戻って来るつもりの無い母に対する恨みと思慕に苛まれる。其の上母の代わりに来た父方の厳格な祖母と、父への確執。会うことも手紙を出すことも禁止され、母への思いは増幅される。

そんな時、庭で、足を傷付けたヒレンジャクという、小鳥を見つける。この鳥は母との思いでの中の鳥でもあり、少女は、夢中で野鳥の面倒を見てくれるという獣医さんのところに持って行く。ミス野鳥と呼ばれているこの女医さんとの出会いがこの少女の心を開かせて行くのだ。

小鳥の面倒を見ることにより、傷付いた心が少しづつ癒されていった。ヒレンジャクは元気になり、仲間の所に飛びたって行った。そして、傷付いた、カラスやスズメの面倒を見ているうちに愛に目覚めて行く。離婚暦のあったやさしく、賢い女医さんとの交流の中、母を尋ねて行く勇気も持つことができたのだ。

これは、一人の少女の傷付いた心の再生の物語です。鳥の体が癒されていく事により、少女の心の傷も癒される。そして、鳥たちは大空に飛びたって行く姿に、少女の心と未来を重ねているラストシ−ンで終わっています。